『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット(ポケモンSV)』のランクマッチにおいて、勝率を上げるために最も重要な要素の一つが「パーティ構築」です。好きなポケモンをただ並べるだけでは、環境で流行している強力なポケモンたちに勝つことは難しく、役割分担や相性補完を考え抜いた構築が必要不可欠です。
特に、2025年9月から開始された「レギュレーションJ」では、伝説のポケモンだけでなく、通常はランクマッチで使用できない「幻のポケモン」の一部も使用可能という特殊なルールが適用されています。アルセウスやモモワロウといった強力なポケモンが飛び交う環境では、従来の構築理論に加えて、これら超高種族値のポケモンをどう活かし、どう対策するかという視点が求められます。この記事では、初心者にもわかりやすいパーティ構築の基礎理論から、最新のレギュレーションJに対応した具体的な構築方法までを徹底解説します。
- パーティ構築の基礎となる「役割理論」と3大戦術を解説
- 攻めと守りのバランスを整えるタイプ相性補完のコツ
- レギュレーションJ(幻解禁)特有の強力な並びを紹介
- 環境トップのアルセウスやコライドンへの具体的な対策
パーティ構築の基礎理論と3大戦術
- 役割理論と3すくみ(アタッカー・クッション・サポート)
- ポケモン対戦の3大戦術(対面・サイクル・展開)
- タイプ相性補完と一貫切りの考え方
- 勝ち筋(勝利ルート)の確立と選出
役割理論と3すくみ(アタッカー・クッション・サポート)
パーティ構築を始める際、最初に意識すべきなのがポケモンの「役割」です。6匹全員がアタッカーだと相手の攻撃を受けきれず、全員が耐久型だと相手を倒す火力が不足します。一般的に、パーティ内の役割は以下の3つに分類されます。
1. アタッカー(エース)
相手を倒すことを主目的とするポケモンです。高い攻撃や特攻、素早さを持ちます。例として、ハバタクカミやパオジアンなどが挙げられます。さらに、物理アタッカーと特殊アタッカーをバランスよく採用することで、物理受け(ヘイラッシャなど)や特殊受け(ハピナスなど)で止まらない構築にすることが重要です。
2. クッション(受け・流し)
相手の攻撃を受け止め、エースが無償で着地するための交代先となるポケモンです。高い耐久力を活かして後出しし、「あくび」や「とんぼがえり」などの技で対面を操作します。ヘイラッシャやラウドボーンなどが代表的です。クッション枠がいることで、不利対面ができても一旦引くという選択肢が生まれます。
3. サポート(起点作成)
「ステルスロック」や「ひかりのかべ」、「リフレクター」などを展開し、エースが全抜きしやすい場を整えるポケモンです。オーロンゲやキラフロルなどが該当します。彼らは自身で敵を倒すよりも、後続のエースが能力上昇を積むための隙を作ることを優先します。
初心者のうちは、これらの役割を「アタッカー3:クッション2:サポート1」や「アタッカー4:クッション2」などのバランスで組み込むと、選出が安定しやすくなります。
ポケモン対戦の3大戦術(対面・サイクル・展開)

構築の方向性を決めるのが「戦術(コンセプト)」です。現在のポケモン対戦における主要な戦術は、大きく分けて以下の3つに分類されます。自分のプレイスタイルに合った戦術を選ぶことが、構築の第一歩です。
1. 対面構築
「交代を極力せず、目の前の相手を1対1で倒す」ことを重視した戦術です。「きあいのタスキ」や特性「ばけのかわ(ミミッキュ)」、「マルチスケイル(カイリュー)」など、行動保証を持ったポケモンを多く採用します。数的有利を取ってそのまま押し切るのが狙いで、読み合いが発生しにくく、初心者にも扱いやすいのが特徴です。
2. サイクル構築
「不利な対面は即座に交代し、有利なポケモンで受ける」ことを繰り返して、相手を消耗させる戦術です。再生回復技を持つポケモンや、タイプ相性に優れた組み合わせ(例:ランドロスとアーマーガアの相性補完など)で構成されます。相手の行動を読むスキルが必要ですが、決まれば非常に堅実な戦い方ができます。
3. 展開構築(積み構築)
サポート役が壁を張ったり状態異常を撒いたりして場を整え、エースが「つるぎのまい」や「りゅうのまい」などの積み技を使って全抜きを狙う戦術です。一度エースが完成すれば、伝説ポケモンすら一撃で倒す爆発力があります。自分のやりたい動きを押し付けることができるため、格上相手にも勝ちやすい戦術です。
これらを完全に分ける必要はありませんが、「このパーティは主に対面で戦う」といった軸を持たせることで、選出や技構成に一貫性が生まれます。
タイプ相性補完と一貫切りの考え方

「タイプ補完」とは、あるポケモンの弱点を別のポケモンでカバーすることです。例えば、ドラゴンの弱点であるフェアリーや氷を、鋼タイプで受けるといった組み合わせです。しかし、現代の構築で特に重要なのは「一貫切り」という考え方です。
「一貫切り」とは、相手の特定のタイプの技がこちらのパーティ全体に刺さってしまう状況を防ぐことです。具体的には以下のタイプの一貫を切ることが必須級とされています。
1. 電気の一貫切り(地面枠の採用)
相手の「ボルトチェンジ」を無効化するために、地面タイプ(ガチグマ、ランドロスなど)を必ず1体は入れます。これにより、相手のサイクル回しを阻害できます。
2. 地面の一貫切り(浮遊・飛行枠の採用)
高威力の「じしん」が一貫するとパーティが半壊します。カイリューなどの飛行タイプや、ロトムなどの特性「ふゆう」持ちを採用して、地面技を透かせるようにします。
3. ゴースト・悪の一貫切り
黒バドレックスやハバタクカミの強力なゴースト技、パオジアンの悪技が一貫すると簡単に全滅します。ノーマルタイプや悪タイプを入れてゴースト技を無効・半減化したり、フェアリータイプで悪技を受けたりする工夫が必要です。
レギュレーションJでは、特に黒バドレックスの「アストラルビット」やコライドンの炎技、アルセウスの「しんそく」などが強力なため、これらの一貫を切れていない構築はランクマッチで勝ち上がることができません。
勝ち筋(勝利ルート)の明確化と選出

良い構築とは、「どうやって勝つか」というビジョンが明確な構築です。これを「勝ち筋(勝利ルート)」と呼びます。パーティを組む際は、以下の2つのルートを想定しておくと良いでしょう。
1. 基本選出(メインルート)
環境に多いテンプレ的なパーティに対して選出する、最もパワーの高い3匹です。例えば「起点作成+積みエース+スイーパー(最後のお掃除役)」という並びです。構築段階で「この3匹を出せば7割の相手には勝てる」という基本選出を作っておくことが重要です。
2. 裏選出(サブルート)
基本選出では勝てない相手(受けループや特定のギミックパなど)に対して選出する3匹です。例えば、受けループ対策に「一撃必殺技」持ちを入れたり、トリックルーム始動要員を入れたりします。
実際の対戦では、相手のパーティを見て「このポケモンが重いから、このルートで行こう」と瞬時に判断する必要があります。構築段階で「誰が誰を倒すのか」を具体的にイメージし、「重い相手(どうしても勝てない相手)」を極力減らすように6匹を決定します。もし「相手のキョジオーンが誰も倒せない」といった欠陥が見つかれば、構築を修正する必要があります。常に「誰を倒すために、誰を採用するのか」という目的意識を持つことが重要です。自分が「やりたいこと」を押し付けるのか、相手の「嫌がること」をするのか、方針を明確にしましょう。さらに、選出画面での90秒間は短いため、事前に「このポケモンがいたらこれ」「この並びならこれ」というパターンを自身のノートにまとめておくのも有効です。上位プレイヤーほど、構築段階で勝負の8割を決めています。
最新レギュレーションJ(幻解禁)の構築法
- 伝説・幻ポケモン2体枠の組み合わせ(バドセウス等)
- 環境トップメタ(アルセウス・コライドン・ミライドン)対策
- 補完枠に必須の一般ポケモン(ハバタクカミ・パオジアン等)
- サンプルパーティ構築例と回し方
伝説・幻ポケモン2体枠の組み合わせ(バドセウス等)

レギュレーションJの構築の核となるのは、間違いなく「伝説・幻枠」の2体です。この2体の選び方でパーティの強さが9割決まると言っても過言ではありません。現在流行している強力な組み合わせ(並び)には以下のようなものがあります。
1. アルセウス+黒バドレックス(通称:バドセウス)
環境トップの組み合わせです。アルセウスは「つるぎのまい」からの「しんそく」で先制高火力を出し、黒バドレックスは高い素早さと特攻からの「アストラルビット」で相手を掃討します。物理と特殊の両面から圧倒的な圧力をかけることができます。アルセウスはノーマルタイプだけでなく、プレートを持たせてゴーストやフェアリーなど環境に刺さるタイプに変更されることも多く、型の判別が難しいのも強みです。
2. コライドン+ハバタクカミor黒バドレックス
コライドンの特性「ひひいろのこどう」で晴れ状態にし、炎技の威力を上げつつ、古代活性を持つ味方を強化する並びです。コライドン自身の「スケイルショット」や「アクセルブレイク」の破壊力に加え、晴れ下のハバタクカミや炎テラス黒バドレックスが止まらなくなります。
3. ミライドン+オオニューラ
ミライドンの特性「ハドロンエンジン」でエレキフィールドを展開し、オオニューラが「エレキシード」などを消費して「かるわざ」を発動させる超高速ギミックです。ミライドン自体も超高火力ですが、オオニューラが上から「フェイタルクロー」などで状態異常を撒き散らす動きが凶悪です。
これら「伝説・幻枠」の2体で攻めの軸を作り、残りの一般枠4体で彼らをサポートしたり、苦手な相手を対策したりするのがレギュレーションJの定石です。
環境トップメタ(アルセウス・コライドン・ミライドン)対策

強力な伝説・幻ポケモンが使えるということは、相手もそれらを使ってくるということです。特に使用率の高い「アルセウス」「コライドン」「ミライドン」「黒バドレックス」への対策は必須です。
1. 対アルセウス(ノーマル)
「しんそく」が無効なゴーストタイプ(ハバタクカミ、黒バドレックス、サーフゴーなど)を入れることが基本対策です。また、「おにび」で火傷状態にして物理攻撃力を半減させたり、ゴツゴツメットを持たせた物理受けで削るのも有効です。ただし、アルセウス側も「シャドークロー」などのサブウェポンを持っているため、テラスタルを絡めた読み合いが発生します。
2. 対コライドン
炎・格闘・ドラゴンの技範囲が広いため受けるのが困難です。フェアリーテラスタルを使用してドラゴン・格闘を無効化したり、特性「てんねん」を持つヘイラッシャやラウドボーンで積み技を無効化して受けるのが有効です。また、天候を「雨」や「雪」に変えて晴れ補正を消すのも対策になります。
3. 対ミライドン
電気技の一貫を切るために地面タイプ(ガチグマ、ディンルーなど)が必須です。しかし、ミライドンは「りゅうせいぐん」や「マジカルシャイン」も持つため、地面タイプ単体では受けきれないことがあります。特性「フェアリースキン」のニンフィアや、特殊耐久の高いチョッキ持ちポケモンで対面処理を図るのも手です。
特定トップメタにだけ滅法強い「メタポケモン」を1体忍ばせておくと、選出された際にイージーウィンを狙えることがあります。
補完枠に必須の一般ポケモン(ハバタクカミ・パオジアン等)

伝説・幻枠が強力でも、一般ポケモンのサポートがなければパーティは機能しません。レギュレーションJでも使用率上位に食い込む、優秀な一般ポケモンを紹介します。
1. ハバタクカミ
高速・高火力の特殊アタッカーであり、コライドンやミライドンの一貫を止めるフェアリー枠としても優秀です。「ブーストエナジー」で素早さを上げれば、黒バドレックス以外のほとんどのドラゴンの上を取れます。「電磁波」や「甘える」などの補助技も豊富なため、どんな構築にも入る万能枠です。
2. パオジアン
特性「わざわいのつるぎ」による防御ダウンが強力で、「きあいのタスキ」を持たせれば対面性能最強クラスです。ゴーストテラスタルを切ればアルセウスの「しんそく」を無効化しつつ、先制技「ふいうち」で縛ることができます。また、「ぜったいれいど」による無理やりの突破も狙えるため、受けループ対策としても機能します。
3. ガチグマ(アカツキ)
高い耐久と特攻を持ち、特性「しんがん」でゴーストタイプにもノーマル技を当てられます。トリックルーム下でのエース運用や、チョッキを持たせた対面操作要員として非常に優秀です。特にミライドン対策の地面枠として重宝されます。
4. オオニューラ
前述のミライドンとのコンボだけでなく、単体でも「かるわざ」発動時の素早さは環境最速クラスです。毒・格闘という独自のタイプ範囲を持ち、フェアリー・草・鋼に強く出られるため、環境補完として優れています。
サンプルパーティ構築例と回し方

最後に、レギュレーションJで使いやすいサンプル構築の例を紹介します。これは「対面的な動き」と「積み展開」の両方を狙えるハイブリッドな構築です。
構築コンセプト: アルセウス+黒バドレックス軸
1. アルセウス(持ち物:いのちのたま / テラス:ノーマル)
- 技:しんそく、じしん、シャドークロー、つるぎのまい
- 役割:絶対的エース。剣舞からの神速で全抜きを狙います。
2. バドレックス(こくばじょうのすがた)(持ち物:気合の襷 / テラス:ステラ)
- 技:アストラルビット、サイコショック、ドレインキッス、わるだくみ
- 役割:第2エース兼ストッパー。襷で行動保証を持ち、高速で相手を削ります。
3. ウーラオス(れんげき)(持ち物:パンチグローブ / テラス:水)
- 技:すいりゅうれんだ、インファイト、アクアジェット、とんぼがえり
- 役割:対面操作兼物理アタッカー。襷パオジアンやディンルーへの打点。
4. ハバタクカミ(持ち物:ブーストエナジー / テラス:地面)
- 技:ムーンフォース、シャドーボール、でんじは、いたみわけ
- 役割:起点作成兼特殊アタッカー。高速で電磁波を撒き、エースのサポートをします。
5. ディンルー(持ち物:オボンのみ / テラス:毒)
- 技:じしん、カタストロフィ、ステルスロック、ふきとばし
- 役割:クッション兼起点作成。高耐久で一度攻撃を受け、ステロを撒いてエースの圏内に入れます。
6. カイリュー(持ち物:ゴツゴツメット / テラス:ノーマル)
- 技:しんそく、じしん、アンコール、はねやすめ
- 役割:物理受け兼スイーパー。マルスケで攻撃を受けつつ、アンコールで相手の展開を阻害します。
回し方:
基本はディンルーやハバタクカミで場を荒らし(ステロや電磁波)、アルセウスか黒バドレックスを通す動きを狙います。相手にコライドンがいる場合はハバタクカミやカイリューを大切に扱い、ミライドンがいる場合はディンルーのHP管理を徹底します。この構築はあくまで一例ですが、それぞれのポケモンの役割が明確であるため、初心者でも扱いやすい構成になっています。慣れてきたら、ウーラオスの枠を環境に合わせて変更したり、テラスタイプを調整したりして、自分だけのオリジナル構築に昇華させてください。構築は生き物であり、環境の変化に合わせて常にアップデートしていく必要があります。
総括:レギュレーションJのパーティ構築まとめ
この記事のまとめです。レギュレーションJは、ポケモンSVの中でも最もパワーインフレが進んだルールの一つです。しかし、基本となる役割理論やタイプ補完の考え方は変わりません。「強いポケモン(幻・伝説)」を軸にしつつ、それを支える「補完枠」を丁寧に選ぶことで、必ず勝率は上がっていきます。まずはレンタルパーティなどで環境を体感し、そこから自分だけの最強パーティを構築してみてください。
- レギュレーションJは2026年1月5日まで開催される
- 幻のポケモンも伝説枠として使用可能(合計2体まで)
- パーティ構築の基本は「攻撃・耐久・補助」の役割分担
- 戦術は「対面・サイクル・展開」の3つから選ぶ
- タイプの一貫切り(特に電気・地面・霊)は必須
- 勝ち筋(メインルート・サブルート)を事前に決めておく
- 環境トップはアルセウス・黒バドレックス・コライドン・ミライドン
- アルセウスは「つるぎのまい+しんそく」型が最強格
- コライドン軸は「晴れパ」運用で火力が爆発する
- ミライドン軸は「エレキフィールド」からの高速展開が強力
- 一般枠ではハバタクカミ・パオジアン・ガチグマがTier1
- 伝説枠だけでなく補完の一般枠が勝敗を分ける
- メタ対策として「おにび」や「電磁波」などの搦め手が有効
- まずは「好きな伝説+相性の良い伝説」の2体から組むのがおすすめ
- 構築に正解はないため、実戦での調整を繰り返すことが重要

