「ポケモン コイル 事件」と検索されたあなたは、おそらくネットを騒がせたあのコイル1位騒動の真相や、しばしば混同される「ポケモンショック」ことポリゴン事件との違いについて知りたいのではないでしょうか。
この記事では、Yahoo!きっず人気投票でなぜコイルが標的となり、いかにして組織票が集められたのか、運営の対応、そして事件が残した影響や第二次コイルショックまでを深掘りします。
ポリゴン冤罪説やポケモンショックの社会的影響にも触れ、長年の疑問に答えます。
- 「ポケモン コイル 事件」は2008年のネット投票騒動
- コイル1位を目指した組織票と運営の攻防があった
- 「ポケモンショック」は1997年のアニメ光点滅事件
- ポリゴン事件とコイル事件は全くの別物で混同に注意
ポケモン コイル 事件の真相:ネットを揺るがした組織票と騒動の全貌
- Yahoo!きっず投票と2chコイル祭り
- なぜコイル?不人気ポケモンへの悪戯
- 投票操作:自動ツールとトラップの噂
- 運営の対応と結果:コイル1位の真相
- コイル事件の影響と第二次コイルショック
Yahoo!きっず投票と2chコイル祭り

2008年、夏の劇場版ポケットモンスター『ギラティナと氷空(そら)の花束 シェイミ』の公開を記念し、Yahoo! JAPANが運営する子供向けポータルサイト「Yahoo!きっず」で、登場ポケモンの人気投票が開催されました。
この投票で上位3匹に選ばれたポケモンは、オリジナルの壁紙として配布されるという、子供たちにとっては魅力的な企画でした。しかし、この純粋な人気投票は、インターネット匿名掲示板「2ちゃんねる」(当時)の住人たちによって、全く異なる様相を呈することになります。同年6月6日、2ちゃんねるの中でも特に活動的な「ニュース速報(VIP)」板に、「Yahoo!キッズのポケモン投票でコイルを1位にして泣かせようぜ」という扇動的なタイトルのスレッドが立てられました。
これを合図に、コイルに組織票を投じる「コイル祭り」と呼ばれる一大ムーブメントが始まったのです。この動きは、当時の2ちゃんねる文化に見られた、既存の権威や秩序を揶揄し、ネットユーザーの集団的な力を誇示する「祭り」の一環であり、子供向けのプラットフォームを標的にしたこと自体が、彼らの過激で倒錯的なユーモア感覚を象徴していました。
この事件は、オンラインコミュニティが現実世界のイベントにどれほどの影響を及ぼしうるかを示す初期の事例とも言えるでしょう。
なぜコイル?不人気ポケモンへの悪戯

コイルがこの組織票の標的に選ばれた背景には、いくつかの理由が考えられます。
投票開始当初、コイルは参加ポケモンの中で最下位に近い、あるいは最下位そのものという不人気ぶりだったと言われています。匿名掲示板2ちゃんねるのコミュニティでは、しばしばこのように一般的には人気のないキャラクターや、ある種「不憫」と見なされる対象をあえて熱狂的に応援し、予想外の結果を引き起こして楽しむという独特の文化が存在しました。
コイルの持つ、生命感の希薄な無機質で機械的なデザインも、従来の「かわいい」や「かっこいい」といったポケモンの人気基準からは外れており、それゆえにこのような悪戯や「祭り」の対象として格好の存在だったのかもしれません。
「コイルを1位にして(子供たちを)泣かせようぜ」というスローガンには、単にコイルを1位にするだけでなく、既存の人気序列や予定調和を覆すことへの快感、そして主流の価値観を揶揄するような挑戦的な意図が込められていたと考えられます。
この選択は、単なる気まぐれではなく、騒動の面白さ、そしてネット社会における影響力を最大限に誇示するための、ある種計算されたものだったと言えるでしょう。
投票操作:自動ツールとトラップの噂

コイルへの大量投票を実現するため、参加者たちは様々な手段を講じました。当初は、ウェブブラウザの閲覧履歴やクッキーを削除することで、同一人物でも複数回投票が可能になるという投票システムの比較的単純な穴を利用した、地道な手動による連続投票が行われていたようです。
しかし、「コイル祭り」が過熱し、より効率的かつ大規模な票の積み増しが求められるようになると、状況はさらにエスカレートします。やがて、特定のプログラム知識を持つユーザーによって自動で投票を繰り返す「自動投票ツール」が開発・配布されたとの噂が広まりました。
これにより、コイルの票数は短時間で爆発的に増加したとされています。さらに巧妙な手口として、「ピカチュウトラップ」と呼ばれる仕掛けの存在も囁かれました。これは、ツールやスクリプトの見た目はあたかも人気ポケモンであるピカチュウに投票しているように見せかけつつ、実際には裏でコイルに票が流れるようにプログラムされていたというものです。
このトラップは、ピカチュウに投票しようとする一般の参加者や、あるいはコイル陣営の動きを警戒するピカチュウ支持者を欺き、結果的にコイルの票を上積みすることを狙ったとされます。こうした技術的な攻勢と心理戦は、当時のオンライン投票システムの脆弱性を示すと同時に、参加者たちの目標達成にかける異様なまでの熱意と結束力を物語っています。
運営の対応と結果:コイル1位の真相

コイルの得票数が常軌を逸したペースで伸び続ける中、投票の運営主体であるYahoo!きっず側も、この異常事態を静観していたわけではありませんでした
。投票期間中、サイトが「メンテナンス中」であることを理由に、投票が一時的に中断される場面が何度か見られました。これは、運営側が不正な投票の可能性を察知し、何らかの技術的対策を講じようとしていた動きと推測されます。
しかし、コイルの勢いは止まらず、一時は圧倒的な差をつけて1位に躍り出ました。最終的に発表された公式結果は、1位シェイミ、2位コイル、3位ギラティナというものでした。
この結果に対し、2ちゃんねるのユーザーたち、特に「コイル祭り」の参加者たちの間では、「運営による不当な票数操作があったのではないか」という強い疑惑と不満が噴出しました。特に、映画の主役ポケモンであるシェイミを1位にするために、コイルの票が意図的に減らされたり、他のポケモンの票が不自然に水増しされたりしたのではないか、という見方が大勢を占めました。
実際に、投票の終盤にはピカチュウの票が不自然な形で急増する現象も観測されたとされ、これが運営側の介入を疑う根拠の一つとなりました。コイルは惜しくも1位の座を逃したものの、2位という結果でも壁紙は制作され、「コイルの壁紙」はネットミームとして、この騒動を象徴するアイテムとして語り継がれることになります。
コイル事件の影響と第二次コイルショック

「ポケモン コイル 事件」は、単なる一過性の騒動に終わらず、日本のインターネット史において伝説的な出来事として長く記憶されることになりました。
この事件が示したのは、匿名の大衆がインターネットを介して結束することで、時に現実世界のイベントや企業の意向すらも揺るがしかねない強大な影響力を持ち得るという事実でした。
その影響は他のオンライン投票イベントにも波及し、特に有名なのが2010年に発生した「イナズマイレブン」シリーズのキャラクター人気投票における、通称「第二次コイルショック」です。この事件では、コイル事件の成功(あるいはその騒動性)に味を占めた2ちゃんねるユーザーたちが再び結束し、作中ではほとんど目立たないマイナーなモブキャラクターであった五条勝(ごじょうまさる)を、他の主要キャラクターたちに圧倒的な大差をつけて1位に押し上げることに成功しました。
その目的はコイル事件と同様、「子供や腐女子(女性のやおいファン)を泣かせる」といった過激で悪戯めいたものでしたが、特筆すべきは、この時には運営元であるゲーム会社のレベルファイブが、この組織票による結果を不正とは見なさず、五条勝が1位であることを公式に認めた点です。
これは、企業側がネットの動向を無視できないことを示すと同時に、ある種のユーモアとして受け止める姿勢も見られました。コイル事件はまた、コイルというポケモン自体を、ある種のアイロニカルな人気者へと押し上げる結果も生み、一時期、ゲーム内のGTS(グローバルトレードステーション)でのコイルの交換レートが異常に高騰するといった珍現象も見られました。
ポケモン コイル 事件と混同注意!「ポケモンショック」との決定的違い
- ポケモンショック(ポリゴン事件)概要
- ポリゴン冤罪説とピカチュウの光点滅
- ポケモンショックの社会的影響と対策
- なぜ二つの事件は混同されるのか?
- コイル事件とポケモンショック比較表
ポケモンショック(ポリゴン事件)概要

「ポケモンショック」または「ポリゴン事件」として知られる出来事は、1997年12月16日の夕方に放送されたテレビアニメ「ポケットモンスター」の第38話「でんのうせんしポリゴン」の視聴中に発生した、極めて深刻な放送事故であり健康被害事件です。
このエピソードでは、ストーリーの演出として、画面全体にわたる赤と青の激しい光の点滅(パカパカ、フラッシングと呼ばれる技法)が多用されました。その結果、番組を視聴していた主に子供を中心とした多くの人々が、突然のけいれん発作、吐き気、目の痛み、気分不快といった症状を訴え、病院に救急搬送されるという異常事態が発生しました。
当時の消防庁のまとめによれば、全国で651人もの人々が何らかの症状を訴えて医療機関を受診したと報告されており、これは単なる「事件」や「騒動」という言葉では片付けられない、メディアコンテンツが引き起こした大規模な公衆衛生上の問題でした。
この出来事は、日本国内だけでなく世界的にも報道され、映像表現が人体に与える影響、特に光過敏性発作の危険性について、社会全体に大きな警鐘を鳴らすきっかけとなりました。
ポリゴン冤罪説とピカチュウの光点滅

ポケモンショックにおいて、長年にわたり語られ続けているのが「ポリゴン冤罪説」です。問題となったアニメ第38話のタイトルは「でんのうせんしポリゴン」であり、物語の中心的な役割を担っていたのはCGポケモンであるポリゴンでした。
しかし、実際に視聴者に深刻な健康被害を誘発したとされる最も強烈な光点滅(特に赤と青の高速で交互の点滅)は、ポリゴン自身が発生させたものではなかったというのが、この説の根幹です。詳細な分析によれば、最も問題視されたシーンは、コンピュータウイルスを駆除するために発射されたミサイルを、主人公サトシのピカチュウが「10まんボルト」の電撃技で迎撃し、それが爆発する場面であったとされています。
この爆発エフェクトとして、画面全体に及ぶ極めて刺激の強いフラッシュが数秒間にわたり繰り返されました。にもかかわらず、事件の名称に「ポリゴン」の名が冠されたことや、エピソードの主役であったことから、ポリゴンが事件の元凶であるかのような印象が広まってしまいました。
その結果、ポリゴンおよびその進化形であるポリゴン2、ポリゴンZは、この事件以降、現在に至るまでアニメ本編から一切姿を消すという、事実上の「出禁」とも言える不運な扱いを受けています。これは、事件の負のイメージを想起させないための措置と考えられますが、直接の原因を作ったわけではないポリゴンにとっては、まさに「濡れ衣」と言える状況が続いているのです。
ポケモンショックの社会的影響と対策

ポケモンショックが社会に与えた影響は甚大かつ多岐にわたりました。まず直接的な影響として、テレビアニメ「ポケットモンスター」の放送が約4ヶ月間にわたり全面的に休止されるという異例の事態となりました。
この間、テレビ東京をはじめとする放送局各社や、当時の厚生省(現・厚生労働省)、郵政省(現・総務省)などが合同で、事件の原因究明と再発防止策の徹底的な検討に乗り出しました。その結果として最も重要な成果の一つが、NHKと日本民間放送連盟によって共同で策定された「アニメーション等の映像手法に関するガイドライン」です。
このガイドラインでは、光の点滅(特に「鮮やかな赤色」の点滅)の1秒間あたりの回数制限、画面の明暗が急激に変化するカットの連続使用制限、コントラストの強い規則的なパターン模様(縞模様や渦巻き模様など)の使用回避といった、具体的な映像表現の基準が詳細に設けられました。
また、この事件をきっかけとして、多くのアニメ番組や子供向け番組の冒頭で「テレビを見るときは部屋を明るくして離れて見て下さい」といった注意喚起のテロップが表示されることが標準的な慣行となったのです。これは、視聴者の健康を守るための重要な啓発であり、メディアリテラシーの向上にも寄与しました。
なぜ二つの事件は混同されるのか?

「ポケモン コイル 事件」と「ポケモンショック」は、その発生した年代、原因、内容、そして社会に与えた影響の大きさにおいて全く異なる性質を持つにも関わらず、なぜしばしば混同されてしまうのでしょうか。
いくつかの理由が考えられます。第一に、どちらの出来事も「ポケモン」という世界的に有名なブランド名を冠しており、かつ「事件」や「ショック」といった人々の耳目を集めやすい衝撃的な言葉で語られる点が挙げられます。
これにより、詳細を知らない人々にとっては、漠然と「ポケモンに関する何か大きな騒動があった」という印象だけが残りやすいのです。第二に、ポケモンショックの原因となった光点滅シーンには、ポケモンの代表的キャラクターであるピカチュウが関与していました。
一方、コイルもでんきタイプのポケモンであるため、電気を発するイメージや、どこか無機質で特異な外見を持つという共通点(ポリゴンもCGポケモンとして特異な存在でした)から、記憶の中で両者が曖昧に結びついてしまう可能性も否定できません。さらに、両事件、特にポケモンショックからは長い年月が経過しており、人々の記憶が薄れる中で、インターネット上で流通する断片的な情報や不正確な情報が混ざり合い、誤解や混同が生じやすくなっていると考えられます。
特にネット上では、情報がコピー&ペーストで拡散・再生産される過程で、文脈が失われたり、誤った解釈が付加されたりすることも少なくありません。
コイル事件とポケモンショック比較表
「ポケモン コイル 事件」と「ポケモンショック(ポリゴン事件)」は、名称が似ていることや、どちらもポケモンに関連する大きな出来事であったことから混同されがちですが、その背景や本質は全く異なります。コイル事件はインターネットコミュニティの力と悪戯心が引き起こした社会現象であり、一方のポケモンショックはテレビ放送における映像表現の安全性が問われた深刻な放送事故でした。これら二つの事件の違いを明確に理解するために、以下の表にその特徴をまとめました。この二つの出来事を正しく区別し、それぞれの教訓を理解することは、現代のネット文化やメディアリテラシーを考える上で非常に有益と言えるでしょう。
「ポケモン コイル 事件」と「ポケモンショック(ポリゴン事件)」の比較
特徴 | ポケモン コイル 事件 | ポケモンショック(ポリゴン事件) |
発生年 | 2008年 | 1997年 |
主な舞台 | Yahoo!きっず ポケモン人気投票(オンライン) | テレビアニメ「ポケットモンスター」第38話放送 |
原因/きっかけ | ネットユーザー(主に2ちゃんねる)による組織票、お祭り騒ぎ、悪戯 | アニメ映像内の激しい光点滅(赤と青の高速点滅など)による光過敏性発作の誘発 |
関与した主なポケモン | コイル(投票対象として) | ポリゴン(当該話の主役)、ピカチュウ(問題シーンで技を使用) |
結果/影響 | コイルが人気投票で2位を獲得(運営による票数操作疑惑あり)、ネット上の伝説的事件として語り継がれる、第二次コイルショック(イナズマイレブン)など類似事件へ波及 | 多数の視聴者(主に子供)が健康被害(けいれん等)、アニメ放送の一時休止(約4ヶ月)、テレビ放送における映像表現のガイドライン策定、ポリゴンのアニメ実質的出演禁止 |
事件の本質 | インターネットコミュニティの組織力と影響力の顕在化、オンラインイベント運営の課題提起 | 放送倫理と映像表現の安全性に関わる重大な放送事故、メディアの社会的責任の問い直し |
この比較からも明らかなように、コイル事件はネットユーザーの集合的な行動が現実のオンラインイベントの結果を左右した事例であり、その動機には多分に遊戯的な要素が含まれていました。
対してポケモンショックは、視聴者の安全という根本的な問題に直結し、放送業界全体の制作体制やガイドラインに恒久的な変革を迫った、より深刻な性質の出来事です。ユーザーが「ポケモン コイル 事件」と検索する際には、これらの異なる背景を持つ二つの記憶が、無意識のうちに混同されている可能性も考慮に入れる必要があるでしょう。
総括:ポケモンのコイル事件とは
この記事のまとめです。
- 「ポケモン コイル 事件」は2008年のYahoo!きっず人気投票で発生した
- 2chユーザーがコイルを1位にするため組織票を投じた
- コイルが選ばれた理由は不人気さからの冗談めいた応援だった
- 投票には自動ツールや複数投票などの手段が使われたとされる
- 運営側による票数操作の疑惑も浮上しコイルは最終的に2位となった
- この事件は「コイル祭り」としてネットで伝説化した
- 事件の影響で「第二次コイルショック」も発生した
- 「ポケモンショック」は1997年に発生した全く別の事件である
- ポケモンショックはアニメの光点滅が原因で健康被害が出た放送事故だ
- ピカチュウの技の演出が主な原因とされポリゴンは冤罪との声が多い
- ポケモンショックによりテレビ放送の映像ガイドラインが策定された
- ポリゴンは事件後アニメに登場していない
- コイル事件はネット文化の一端を示す出来事であった
- ポケモンショックはメディアの安全性への警鐘となった
- 両事件は背景も内容も影響も大きく異なるため混同しないよう注意が必要だ